Episode 06:The Love Of My Life
「え、なに?これお花?、くれるの???」
彼女は感動して涙ぐむどころか、完全に目が点になっている。
予想外すぎるサプライズに頭の処理が追いつかないみたいで、
本当に信じられないといった顔で僕と花束を何度も見比べている。
そんな彼女のリアクションに少しだけ緊張が解けた僕は、ポケットから手紙を取り出した。
「ちょっと聞いて」
そう言って手紙を開き、一文字ずつ声を震わせながら読み始める。
手紙の言葉が進むにつれて、彼女の表情がガラリと変わった。
「なに?なに?」とパニックになっていた顔が、一気にクシャクシャに歪んでいく。
そして、手紙を読み終えた瞬間。
僕はポケットから指輪の箱を取り出し、
ハワイの砂浜に片膝をついた。
「結婚しよう」
真っ直ぐな言葉とともに、指輪の箱を開けて彼女に差し出す。
彼女は言葉にならない声を上げて、子どものようにその場でピョンピョンと飛び跳ねて喜んだ。
そして、ボロボロと大粒の涙を流しながら、今度は僕の胸に思いっきり飛び込んできた。
きつくハグを交わしたあと、彼女の涙を拭いながら、僕はゆっくりと指輪を取り出し、
彼女の左手の薬指に通した。
指にはめた、その瞬間だった。
「フォーーーーウウウ!!ヒューヒュー!!」
周りにいつの間にか、たくさんの現地の人や観光客が集まっていた。
みんなが僕たちにスマホのカメラを向け、温かい拍手を送り、中には指笛を鳴らして大盛り上がりで祝福してくれる人もいる。
予期せぬお祭り騒ぎのような大歓声に包まれて、胸がいっぱいになった。
「最高すぎる」
その一言に尽きる空間の真ん中で、今度は僕の目から涙が止まらなくなってしまった。
みんなで一緒になって喜び合って、世界中で今、自分たちが一番幸せなんじゃないかと思える時間が流れる。
僕はその熱狂に巻き込まれるようにして、近くにいたアメリカ人の男とガシッと力強いハグを交わした。言葉なんて通じなくても、「やったな!」「ありがとう!」という気持ちが全身で伝わってきて、信じられないくらい胸が熱くなった。
周囲の歓声が少し落ち着き、僕たちが涙を拭っていると、人混みの向こうからお姉ちゃん夫婦が姿を現した。
ずっと隠れていてくれた二人は、僕たち以上に顔をクシャクシャにして、泣きながら歩いてくる。
自分たちのことのように涙を流して「おめでとう」と駆け寄ってくれる家族の姿を見て、また熱いものが込み上げた。
「全部、記録に残してね」
そう言われて回し始めた動画には、
周囲の温かい拍手も、鳴り響く指笛も、見知らぬ外国人との熱いハグも、泣きながら出てきた家族の笑顔も。 そして、僕がひざまずいて誓った、あの瞬間の彼女の最高の笑顔も。
僕が頭の中で考えていた計画を遥かに超えた、人生で一番熱くて幸せな記録が、すべて完璧に刻まれていた。



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